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子供の頃、友達の後ろから気付かれないように、そう〜と近づき、ピッタリくっ付いてから友達の膝裏を、自分の膝頭でしゃがむようにして押すと友達の膝が曲がってガクッと腰を落とす「膝カックン」と言う遊び(イタズラ?)をしたことがありますか?この「膝カックン」成功のポイントは、
1、膝が伸びている友達を探す
2、気付かれない様にアプローチする
3、相手の膝裏に自分の膝頭をピッタリくっ付ける
4、自分の体重を落とすことで自分の膝頭を前に突き出す
と思われますが、この一連のプロセスに合気道の技の懸りを色濃く感じ取ることが出来るのです。
合気道の技の一つに「二教」が有ります。代表的な二教は、正面打ちしてきた相手手首を甲側より交差取りし、その手をお互いを結ぶ中心線上に柔らかく保持。もう一方の手で保持している相手腕側の胸を崩す意識をもって腕を下方へ落とすと、あら不思議、相手は苦痛に顔を歪めながら腰砕け状態で落ちていくというものですが、技巧者の場合、この痛みすらなく腰砕けになります。この技成功のポイントは、
イ、相手の手首を取り保持する過程で「手首」「肘」「肩」の関節を詰める
ロ、もう一方の手を相手の腕に置くことと相手の体勢を見ることで崩れそうな方向を感じとる
ハ、その方向に静かに力を加える
ですが、この技を掛けられている相手の立場から眺めると
二、イにより、腕、肩に張りが生じたので、無意識に緩みを取るべく体軸を僅かに傾けた
ホ、その傾いた体軸を支えるため「突っ張り棒」的に下肢に緊張を与えた
へ、ところが、その「突っ張り棒」を外す方向に等速度的な力が加えられたので、最早対抗することが出来ず、結果として自分の体重により膝、腰から崩れ落ちてしまった
となります。更に、この技を掛け合っている二人を傍観しますと
ト、手首を取られた被技者の腕は、肘の上がった不自然な体勢になっている
チ、技者の体軸は真っ直ぐで、被技者の手首を支える手は動かない
リ、この手首を支点として、もう一方の手が僅かに傾きを持って下方へ動いたように見える
ヌ、すると被技者の膝と腰が同時に崩れて落ちた
改めて「膝カックン」と二教に共通する項目を整理すると、
A、掛けられる相手に予期を与えない
B、崩れる方向を見極める
C、相手が反応し難い等速度の動き 等でしょうか。
ここでは子供の遊びである「膝カックン」を通して二教の技を私なりに解説しましたが、「膝カックン」のプロセスは、合気道の技の多くに通じる“突っ張らせ、その突っ張りを外すことで相手を崩す”と同じであり奥義に近いと思われます。
「膝カックン」では、相手がどちらか一方の足により多くの体重を掛けている場合、その膝裏を狙うと効果的であることは子供も経験的に知るところであり、合気道の二教も腕関節の詰まりが多い程効果的なのは言うまでもありません。
「膝カックン」をイメージしての二教の稽古、是非お試しあれ。但し、その効果には個人差があることをお断りしておきます。