2013-03-19
長く生きれば生きるほど、つくづく、
(合気道は生活のあらゆる場面での「技」だ)と感心する。
人と人が接する至る所に合気道がある。
デパートで何気なくウィンドーショッピングしていると……
「いかがですか。手に取ってみてください」
と、店員さんが笑顔で接近してくる。
「ほら、これなんかよくお似合いですよ」
と品物を手にこちらの体に合わせるではないか。
おいおい……
こちらは、買わないつもりもないが、買うと決めてるわけじゃない。
「いや、見せてもらってるだけです」なんて、
いわなくともいい言い訳をしつつ、売り場から離れる。
そんなことが売り場ごとに繰り返され、うっとうしく感じることが多い。
店員さんのあの距離感が苦手で、デパートから遠ざかってしまった経験は、どなたもあるだろう。
もっと、そっとしておいてくれれば……と幾度思ったか。
店員さんにとっては、よかれと思った(接客サービス)の基本、仕事を熱心にしてるつもりなのだろうが、逆に作用してしまうわけだ。
合気道に照らして思えば……
店員さん思うところの(サービス)に、ぐいっと「力」が入りすぎているため、
(買わないと帰さないぞ)と無言で言われているようで、こちらも反射的に力で反発したのだろう。
結果、店員と客とのつながりが作れず、売買は成立しない。
もしも店員さんが合気道を知っていれば、(つながってから、崩す)ことを心掛けたに違いない。
反対に……
ある落語家さんの体験談。
思ってもいなかった落語の道に入る意外なきっかけとは……
大学に入学した時のこと。
春、様々なサークルが新入生の勧誘にやっきとなり、学内を歩く新入生めがけて殺到している。
そんな中、ある部室をのぞくと……
部屋の中にぽつんと炬燵が置かれ、一人の学生が背を向けて入っていた。
(??)
その学生、ゆるりと入口の方を振り向くと、
「勧誘しないから、まあ炬燵にどうぞ」とぽつり。
「はあ……」と言っておずおずと炬燵に入れてもらったのがきっかけで、
それまで興味のなかった落語研究会に入部してしまった……という。
合気道をおやりの方は、おわかりだろう。
接客業のみなさん、是非、合気道をやってみてください。
(異性を口説くときも……そうですよね)