11 武道のスピードって、何だろう??(その2)
書いてしまってから「しまった」と思ったテーマ、「武道のスピード」。
私のような初心者の脳みそは、考え始めるとグルグル混乱する。
でも、避けては通れない課題だし、あっと驚く(深み)も、待っていそうだし・・。
先生の稽古の中にすべての術理が含まれているのだから、考えずともいいのにと思いつつ・・。
それでも、術理を理解したい欲求があとからあとから湧いてくるから困る。
これまでわかったことは、
(武道は本来、予測された動きは、どれほど物理的に強くて速かろうと、有効ではない)。
だから、「初動を消す」だし、「無拍子」だし、「等速直線運動」・・なんだよね。
そうすると、(予測しにくい動きをどう予測するか)という壁と突き当たってしまう。
先生の剣を軽々とかわすというのは、そういうことになってしまう。
なんだか、中国の「矛盾」を彷彿とさせるなあ・・タテとホコか。う~む。
初心者の頭は、脳生理学でいうなら、
(人が体や剣を速くふるおうとすれば、反動をつけて、加速するはずだ)
・・と、自分の狭い枠に照らした(反動→加速)の常識が染み付いている。
これをもとに、体の動き、目の動き・・から「攻撃の予兆サイン」を読み取ろうと必死になる。
しかし、先生の動きには、予測させる情報がほとんどない。
だから、視野にあるにもかかわらず、いつの間にか、スーッと出てくる剣に、金縛り状態で「待つ」時間を生んでしまう。
どうもそうらしい。
つまり、先生が振り下ろす剣をかわせないのは、スピードの問題じゃなく、
(時間のコントロール)の問題ということになる。
目や頭で考えない、感知の方法は何だろう??
今度、確めてみようっと。
余談だが、稽古は(従来の身体の認識システムを解体し、再構成することを求めている)のですよね・・。
熟年の我らは、それが骨の髄まで滲みてる。この垢が落ちたら、さぞや気持ちいいだろう。
屁理屈はここまで。あとは稽古で体にお任せするしかない。
(この段階の理屈の楽しみは、初心者の特権だとご容赦願いたい)
実は、(武道のスピード)なんてテーマにしたのは、稽古場だけの課題じゃないからです。
むしろ、(武道のスピード)の理解から開発される能力は、
「トラブルを、事前のわずかなサインを感知して、危険を回避する」ことだと確信しています。
危機の予測、今風に言えばリスク管理ですね。
(これがまったくできなかったから、福島原発は吹き飛んだ)
この社会、リスクは身体的な危機に限らず、枚挙にいとまがありません。会社だっていつリストラされるかしれないしね。
どなたでも、切実なはずです。
リスクの「予見」は、人間がサバイバルする上で本質的な課題です。
戦わずにすませられれば、事前に回避する