(一社)氣と丹田の合氣道会 楽心館

「腰」の意味と身体感覚の再発見:合気道から学ぶ日本の“体ことば”

2012-06-
ぎっくり腰で (>_<)痛い思いして

改めて腰が体の「要」であることに気付く。

それだけ、

日頃いかに腰を意識していないのだとわかる。

合気道で、

初めて、「足構え」・「腰さばき」を意識するようになった。

「一文字腰」「居合腰」「撞木足」・・

この三つの足構えと、武術的身体使いの関連性を、入門早々にご指導いただきました。

この機会に、すっかり縁遠くなってしまった

日本人の「体ことば」を見直してみる気になった。

手始めに「腰」をふりかえってみる。

「腰砕け」「へっぴり腰」「腰が引けてる」・・

確かに、

私が子供時代までは、身の回りで普通に使われていた。

周囲に肉体を使う仕事の人が多かっただけでなく、

主婦の家事だって肉体労働の連続だったし、

子供だって、体を使わなくては遊べなかったしね。

かつては、

「腰が決まってる」といえば、どんな身体の在り方を指すかは常識だった。

今では、言われても???の人が多いかもしれない。

腰が決まってるって、どんなこと?

と質問されたら、説明に困りそうだ。

「テレビで相撲見るでしょ」

「四股を踏んだ時に両足を地面につけたときのかたち。あれ、四股立ちといって、腰を決めるためにやってるんだ」

「??相撲見ないの?」

「じゃね、イチローが打席立つ前、足を直角にして肩入れする、あの腰構えのこと」

「わかった!」(ああ、しんど)

「昔は、重い荷を引くときや太鼓を打つ時など、力強く踏ん張る必要のある時は膝をぐっと外に割って腰を固める技が求められたんだよ」

「踏ん張ること・・ないもん」

「あ、そ」

からだ言葉は、からだの様態だけを意味したのではなく、

物事に向き合う気持ちや姿勢などまで評したものだった。

重い荷を引いたり、神輿を担ぐとき腰を入れるように、

試験でも恋愛でも、本腰を入れないと達成は難しい。

口は勇ましいが、いざとなるといつも影が薄くなる奴がいた。

途中から自信をなくすのか、本番に臨む前にすでに

「腰が引けてた」彼は・・・今、どこでどうしてるだろう。

「腰砕け」「腰が抜けてる」「逃げ腰」「及び腰」

「へっぴり腰」は、尻を後ろに突出す格好。

腰が引けていて、ぐっと前に入ってない状態のこと。

「腰砕け」は、圧力に耐え切れず足腰の形が崩れ、安定性を失うこと。

腰は、まさしく身体構造の中心。

体全体が腰を中心にどっしりと安定していることが身体使いの基本。

そのほか・・

「喧嘩腰」なんて腰もある。

(あまりお目にかかりたくない腰である)

「さあ、仕事に本腰を入れるぞ」と気持ちのスイッチを入れたり・・

「人の話しの腰を折るんじゃないよ」と叱られたり・・

「あの人、物腰がやわらかいね」

「腰が低いね」「腰が据わってるね」・・

と人の立ち居振る舞い、人生に対する姿勢まで評したもの。

「もう転職なんて考えず、腰を落ち着けることが大事」

・・なんて、様々に使われた「腰」。

そこには一貫して、腰の大切さや、構造上の特性が反映されていて、

誰でも実感しやすい表現だった。

今だって大いに使ってみたいところだが、

身体感覚そのものが薄くなってしまって、

言われた方がぽかんとしてしまうだろうな・・

せいぜい、

そばやうどんに、「コシがあるね」・・くらいか。

そういえば、すっかり

「柳腰」の美人にお目にかからなくなってしまった。

(意味は辞書を引いてくださいね)

ともあれ、
腰を据えて合気道をやろう。

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