日本の移民制度について
2025年7月の参議院選挙では、国民民主党が大勝し、「日本人ファースト」を掲げる参政党も躍進しました。ここに示された民意は明確です。国民が求めているのは「減税」と「移民・外国人政策の厳格化」です。
この問題を考えるにあたり、そもそもの原点は安倍晋三首相時代に導入された実質的な移民制度に遡ります。
安倍首相の国会答弁と制度の実態
安倍晋三首相は国会で繰り返し「安倍内閣として、いわゆる移民政策をとる考えはない」と答弁しました。2018年1月24日や11月13日の衆議院本会議でもその立場を繰り返し明言しています。
しかし、同時期に成立した 特定技能制度(改正入管法) は、国内外から「実質的な移民制度」と批判を受けました。政府が用いた「移民政策ではない」という表現は、「永住を前提としない」という狭い定義に基づくものに過ぎません。実際には 特定技能2号 によって在留更新の無期限化や家族帯同が認められ、長期定住が可能となる仕組みでした。
制度の概要
特定技能1号
最長5年間の就労が可能。ただし家族帯同は不可。特定技能2号
熟練技能者を対象とし、在留更新に制限なし。家族帯同も可能で、事実上の永住に近い。
こうした制度設計により、「限定的な労働受け入れ」という建前を超えて、実態としては移民政策と同質の機能を持つことになりました。欧州のメディアや国際機関はこれを「事実上の移民受け入れ」と表現し、日本の研究者も「定義を狭く解釈しているだけで実態は移民政策に近い」と批判しました。
なぜ「移民ではない」と言い続けたのか
背景には、国民世論への配慮と利害関係の調整があります。移民という言葉には強い拒否感があり、選挙リスクを避けるために「移民ではない」と言い換える必要がありました。
同時に、この制度は 政治・官僚・経済界が利害を共有する三角構造 の中で生み出されたのです。
利害の三角構造
外務省
外交カードとして外国人労働者受け入れを利用。
ベトナムやフィリピンなどアジア諸国との二国間関係を強化。
ODAや経済協力と組み合わせ、人材受け入れをパッケージ化。
JICA(国際協力機構)
「研修」「人材育成」を名目に、送り出し国で日本語教育や職業訓練を整備。
日本への人材循環を仕組み化し、予算と事業の拡大を実現。
経団連(大企業団体)
建設・介護・農業・外食・製造業の人手不足に対応。
正社員雇用を増やさず、安価な労働力を確保するため制度導入を強く要望。
加えて、派遣業者やブローカーも送り出しと受け入れの過程で手数料ビジネスを拡大しました。
結果として
政治(国会議員) は「移民ではない」と言い換えて選挙リスクを回避。
外務省・JICA は「国際協力」の名目で予算と影響力を拡大。
経団連 は安価で従順な労働力を確保。
こうして「表向きは移民政策ではないと装い、裏では政治・官僚・経済界が利権を分かち合う仕組み」が完成しました。
現在への帰結
今回の参院選で国民が移民・外国人政策の厳格化を求めたのは、この長年の矛盾に対する当然の反応です。今後、利権を享受してきた国会議員や外務省・JICAも、国民の意思に応える改革を迫られるでしょう。