世界和楽とは何か

楽心館本部道場の正面に掲げられた「世界和楽」。その言葉に込められた意味を、
道場とは何か、門人とは何か、小我と大我とは何かという武道の本質から紐解きます。

 

木造の道場で、複数の門人が白い稽古着で技の稽古を行っている。背景には「世界和楽」と書かれた大きな掛け軸が掲げられている。
楽心館本部道場に掲げられた「世界和楽」の前で、門人たちが技の稽古に集中する様子。

世界和楽とは何か

楽心館本部道場の正面には、「世界和楽」という額が掲げられています。
しかし、若い門人の中には、それをただの装飾や稽古の邪魔物のように感じてしまう、
意識の浅い者もいます。だからこそ、この言葉の意味をあらためて述べておきたいのです。

■ 道場とは何か

稽古する場所を「道場」といい、稽古する者を「門人」といいます。
なぜ「場所」ではなく「道場」であり、なぜ「生徒」ではなく「門人」なのか。
その根本から理解する必要があります。

道とは、小我を捨てて大我へ向かう道のりです。

自分の命は、大海の水を手のひらですくった程度の、ほんのわずかな存在にすぎません。
これが小我です。しかし手を開けば、その水は本来の場所である大海へと戻っていきます。
この広大な生命の流れが大我です。
私たちの命は、大我に貢献するために一時的に預けられた小さな一滴にすぎません。

この生き方を一言で表すなら、則天去私(そくてんきょし)
「天に則り、私を去る」——これこそ道を求める者の姿です。

■ 門とは何か

則天去私を志す者が通る入り口が「門」です。
寺には山門があり、神社には鳥居があるように、
道を求める者は人生の中で幾つもの門を通過し、心を高めていきます。

武道においては、技が無色透明となっていく過程そのものが、門をくぐる歩みです。
小我の力を手放し、自然靈性の理に身を任せたとき、はじめて技は本来の姿を発現します。
これは学ぶ者が、小我から大我へと移行する通過儀礼でもあります。

■ 世界和楽とは何か

では、大我とは具体的に何を指すのでしょうか。

家族を養い
地域に貢献し
国家を愛し
そして世界の安寧のために働くこと
このすべてです。

これらを一言でまとめるなら、「世界和楽」という語が最もふさわしいのです。

世界和楽とは、個の利益を超え、家族・地域・国家・世界に調和と安寧をもたらす志。
天の理に従い、私を離れ、大我として生きる姿。

楽心館の稽古は、そのために心と身体を磨く学びであり、
技の修行を通じて最終的に向かうべき境地が、この世界和楽です。

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