リーダーじゃなくても人を導ける|合氣道に学ぶ「器」の育て方
1. 前に立つことへの違和感
私はいま、合氣道の指導者として人前に立つことが多い立場にあります。
しかし本音を言えば、もともと人を引っ張るのが得意なタイプではありません。
漫画でいえば、ルフィやナルトのような「主人公キャラ」ではなく、
その横に立つ“二番手”のようなポジションのほうが、昔からしっくりきていました。
ですが、教える立場になったいま、自分が旗を立てる側になる責任も生まれてきます。
「このままの自分でいいのか?」という葛藤が、日々つきまといます。
2. 得意な立ち位置と求められる役割
私は、何かを最初に思いつくタイプではありません。
でも、誰かが「これをやろう」と言ったとき、それに乗って一気に動き出す二人目になることは得意でした。
たとえば誰かが「こういう道場をやりたい」と言えば、私は「それ、面白いですね!」と真っ先に声を上げる。
するとその人は“変な人”ではなく“すごい人”に見えて、場が動き始める。
そんな支える側の動き方が、自分に自然にできる役割でした。
けれど、いまは自分が教える立場。
特に自分より年上の人に指導するときは、「これでいいのか?」と不安になります。
年齢に頼れない立場で、前に立つ判断の難しさを日々感じています。
3. 気づき|器は「どう応じるか」で育つ
器がある人とはどんな人か?
堂々とした発言、強い存在感、人を引っ張る力…そうしたものを想像する人が多いかもしれません。
でも、前に出なくても場を動かす人がいます。
たとえば、最初に声を上げた人の意見に対して「それ、いいですね」と応じる二人目がいたとしたら。
その瞬間に流れが生まれ、周りの人も安心して動き出せる。
器とは、目立つ力ではなく、「今この場にどう応じるか」の力なのかもしれません。
誰かを支える一言や一歩が、場の空気を変える。
それこそが、自分にしか持てない「器」になるのだと思います。
4.器の形は人それぞれ
器があるとは「強いリーダーになること」ではありません。
無理に声を張ったり、自信があるように見せたりする必要もありません。
たとえばこんな人にも、立派な器があります:
- 静かに場を見守り、必要なときに一言だけ言える人
- 周囲の空気を読んで、安心感をつくる人
- 目立たずに人の行動を後押しできる人
合氣道でも、技を強くかけるよりも、崩さず自然に導く動きのほうが本質です。
それと同じように、指導や人との関わりでも「自然さ」が力になることがあります。
5. 自分の器を、今の場所で育てる
私は、これからも「どう前に立つか」を考え続けていくと思います。
でもそれは、自分を変えることではなく、「自分に合った器で立つ」ことを選び続けるということです。
リーダータイプでなくても、人は人を導ける。
あなたは今、どんな器で、どこに立っていますか?